Case Study 導入事例

新日本ヘリコプター株式会社

AIが「確認すべき箇所」を示す。航空機整備マニュアルの内容確認を効率化した新日本ヘリコプターの取り組み 

新日本ヘリコプター株式会社 

【T-4OO導入事例インタビュー】

▶︎ 航空整備における「翻訳」の難しさ――求められるのは、文章の意味だけではない 

▶︎ 改訂が集中すると、確認量が一気に増える。品質管理グループが抱えていた課題 

▶︎ 「翻訳」→「内容確認」→「社内文書への反映」。品質管理業務に組み込まれたT-4OO 

▶︎ AIと人、それぞれの役割――最終的な判断をするのは、あくまで人 

▶︎ ご検討中の方へ(ご担当者さまからのメッセージ) 

本記事のポイント

  1. 【航空整備ならではの要件】航空機メーカーから発行されるマニュアル・技術通報はすべて英語。ボルトの締付トルク値など、わずかな数値の違いが実際の作業に関わるため、「日本語として自然な翻訳」だけでは十分ではない。
  2. 【業務への組み込み方】翻訳 → AIによる誤訳可能性の提示 → 担当者による重点的な確認 → 整備規程・作業文書への反映。T-4OOを単体のツールとしてではなく、品質管理業務のフローに組み込んで活用している。 
  3. 【AIと人の役割分担】AIが「確認すべき箇所」を示すことで、人が重点的に確認すべきポイントが明確に。最終的な技術判断は人が担いながら、確認作業の負荷を軽減している。

航空整備における「翻訳」の難しさ 

航空機の運航を支える整備の現場では、メーカーから発行される技術文書の内容を、正確に理解することが求められます。それらの文書はすべて英語であり、数百ページに及ぶことも珍しくありません。 

新日本ヘリコプター株式会社は、1960年に東京電力と中部電力の共同出資により設立された航空運航事業会社です。ヘリコプターの特性を活かした送電線巡視飛行、建設資材の輸送、航空写真撮影や測量調査、緊急対応飛行などを手がけ、電力インフラをはじめとする社会基盤を空から支えています。 

同社の品質管理グループでは、この英文マニュアルおよび技術通報の内容確認と、それに伴う整備規程・業務規程の改訂を担っています。2017年3月からT-4OOをご利用いただいている同社は、いま、AIによる翻訳を「品質管理業務のプロセスの一部」として位置づけています。 

今回、取材にご対応いただいたのは、新日本ヘリコプター株式会社・品質管理グループのご担当者さまです。 

スピーカー

ご担当者 さま 

品質管理グループ ※ご希望により匿名表記とさせていただいております 

【ご担当業務】 

航空機メーカー発行のマニュアル改訂対応、技術通報への対応、整備規程・業務規程の改訂 

【主なご利用モード】 

高精度翻訳「超高精度(熟考)」モード 

【利用領域】 

英文整備マニュアル・技術通報のファイル一括翻訳(英日/Word形式出力) 

【T-4OO導入開始】 

2017年3月〜 

―― まず、貴社の事業内容と、ご担当されているお仕事の内容について教えてください。

ご担当者さま 

私が所属しているのは品質管理グループという部署です。

主に、航空機メーカーから発行されるマニュアルの改訂対応を行っています。あわせて、技術通報への対応も担当しています。

技術通報が出た場合には、当社で管理している整備規程や業務規程を見直し、必要な改訂を行います。

マニュアルと技術通報が、翻訳の大きな用途となっています。

―― 航空機整備の現場において、英文文書の翻訳にはどのような難しさがあるのでしょうか。

ご担当者さま

航空機メーカーから発行されるマニュアルは、すべて英語で提供されます。その内容を正確に理解する必要があり、誤訳があると業務に影響する可能性があります。

ただ、求められているのは、文章の意味が通じることだけではありません。数値や条件を正確に理解することが不可欠なんです。

たとえば、ボルトにかけるトルク値が変わることがあります。それを見逃してしまうと、当社で使っている作業文書に影響が出てしまう。ですから、単に日本語として自然な翻訳というだけでは、十分ではないのです。

わずかな数値の違いが、実際の作業に関わる。 

日本語として自然な翻訳というだけでは、十分ではないのです。 

新日本ヘリコプター株式会社 品質管理グループ ご担当者さま 

改訂が集中すると、確認量が一気に増える。品質管理グループが抱えていた課題

―― そのなかで、どのような課題を感じていらっしゃいましたか。

ご担当者さま

マニュアルは数百ページに及びますし、改訂が一度にまとめて発生することもあります。

改訂が集中すると、確認する量が一気に増える。数百ページに及ぶマニュアルの改訂をすべて確認するには、やはり大きな負荷がかかります。

そのなかで、数値や条件の変更を見落とさないことが何より重要でした。

だからこそ、より高精度な翻訳が必要だと考えたのです。

「翻訳」→「内容確認」→「社内文書への反映」。品質管理業務に組み込まれたT-4OO

―― 実際の運用としては、どのようにお使いいただいていますか。

ご担当者さま

マニュアルや技術通報は、Word形式で翻訳して出力することが多いですね。

変更点がわずかで、コピー&ペーストで済む程度の量であれば簡易的に確認しますが、改訂が広範に及ぶときには、超高精度(熟考)モードで一気にWord形式に出力する。改訂の量に応じて使い分けています。

同社では、T-4OOを単体の翻訳ツールとしてではなく、品質管理業務のプロセスに組み込んで運用しています。 

導入して実感した効果

―― 従来の翻訳モードと比べて、「超高精度(熟考)モード」ではどのような変化を感じられましたか。 

ご担当者さま

従来の翻訳では、少し違和感のある表現が見受けられました。

それが超高精度(熟考)モードでは、その違和感が減って、自然で読みやすい翻訳になったと感じています。

――「超高精度(熟考)モード」では、AIが訳文中の「誤訳の可能性がある箇所」を提示する機能が新たに追加されています。この点はいかがでしょうか。 

ご担当者さま

誤訳の可能性を示してくれることで、人間の目によるチェックをさらにカバーできていると思います。

誤訳の可能性が分かれば、そのポイントを人間の目で見て「ここはこう変わったんだな」と確認できる。全文を一から確認するのとは、負荷がまったく違います。

AIと人、それぞれの役割

――AIと人の役割を、どのように整理されていますか。 

ご担当者さま

航空整備において、最終的な判断をするのはあくまで人です。

ですからAIにすべてを任せるのではなく、人が確認すべき箇所を明確にし、確認作業を効率化できることに価値を感じています。

今後への期待――精度と処理速度の両立へ 

―― 今後、「T-4OO」に期待されることを教えてください。

ご担当者さま

一番の要望は、翻訳にかかる時間の短縮です。ファイルサイズが大きいと処理に時間がかかります。

クラウドサービスなので、画面を閉じても裏で処理が進むことは理解しているのですが、業務が立て込んでいるときは、やはりもう少し早くしていただきたい。精度を優先している以上、時間がかかることは仕方ないとも思っていますが、翻訳速度と安定性がさらに向上すれば、より使いやすくなるはずです。

※編集部注:「超高精度(熟考)」モードは、エージェンティックAIが訳文を多段階で検証するため、通常モードより処理時間を要します。ロゼッタでは処理速度と安定性の改善を継続的に進めております。 

ご検討中の方へ(ご担当者さまからのメッセージ)

” 精度と時間は、天秤の関係にあると思います。ただ、我々のように「間違いがあってはならない」文書を扱う現場では、精度を優先する価値がある。
数百ページの文書を、すべて同じ密度で確認するのは大きな負荷です。誤訳の可能性まで示してくれるのであれば、確認作業全体の工数としては十分に見合っている。そう感じています。 ” 

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