Case Study 導入事例

中山国際法律事務所

10年間の伴走で見えた“人手修正の消滅” 契約書翻訳を「全件チェック」から「要確認箇所だけ」へ変えた超高精度(熟考)モード 

中山国際法律事務所 中山 達樹 弁護士

事業所名:中山国際法律事務所
お名前:中山 達樹 弁護士(代表 / ロゼッタ翻訳顧問) 
専門分野:国際取引一般、国際紛争解決、企業法務一般 ほか
国際案件比率 :全体の約6〜7割

T-4OO利用歴 :約10年(2017年に初回の導入事例を掲載)

全体の6〜7割が国際案件。10年の利用で、翻訳業務はどう変わったか 

全体の6〜7割を国際案件が占める中山国際法律事務所。英語を日常的に扱う同事務所では、約10年前から高精度産業翻訳AI「T-4OO」を活用いただき、2017年には一度、導入事例をご紹介しました。あれから約10年——生成AIの登場とエージェンティックAIを搭載した「超高精度(熟考)」モードの追加を経て、契約書翻訳の現場はどう変わったのか。代表であり現在は翻訳顧問も務める中山達樹弁護士に、改めてお話を伺いました。

本記事のポイント

  1. T-4OO導入前と比べ、翻訳・修正にかかる工数はおおむね1/10〜1/15に
  2. 用途を「完璧な品質が必要な翻訳」と「概要把握の翻訳」に切り分け、前者で超高精度モードを活用
  3. 「自分のリスクを取ってでも任せられる」と踏み込める信頼水準に到達
  4. 旧課題だった訳語のばらつきがほぼ解消し、ほとんど手を入れずに提出できる状態へ

■ 用途は2種類――「完璧な品質」と「概要把握」を分けて使う 

―― どのような場面でT-4OOをお使いでしょうか。 

お話ししながら、自分の中で改めて整理できたのですが、翻訳には大きく2つの用途があります。ひとつは、企業のお客様から「費用をお支払いするので、しっかり訳してください」と依頼される、完璧な品質が求められる翻訳。例えば銀行の取引約款のように、一字一句の正確さが問われるものです。もうひとつは、とりあえず内容が読めればよい翻訳。社内会議用の資料や、海外の相手が言っていることの概要を「つまりこういうことか」と把握するための用途です。

当事務所に来る仕事で最も多いのは前者で、最終的には弁護士が完璧に仕上げます。その”たたき台”として、そして品質のベースとして、T-4OOを使うことが多いですね。日本企業の海外展開に伴う英訳(英→日→英)の場面が特に多い印象です。

■ 10年前との比較――工数は、さらに”数分の一”に 

―― 2017年のインタビューから、業務はどう変わりましたか。

前回お話しした時点で、翻訳にかかる工数は当時比でおよそ1/5になっていました。これは、AIが入る前——一字一句すべてを人が訳していた時代と比べての数字です。そこからさらに超高精度(熟考)モードで体感で2〜3倍、さらに楽に、速くなりました。
具体的な感覚で言うと、英訳の契約書は1ページあたり、以前はしっかり取り組むと約1時間かかっていました。それが今は5分程度。合わせて考えると、AI導入前と比べておおむね1/10〜1/15の工数に収まっている計算になります。
訳語のばらつきも、以前と比べて大きく減りました。全体的に質が上がり、私自身が手を入れる(修正コメントを付ける)ことは無くなり、法務レビューのみになりました。

[参考:超高精度(熟考)モードの検証結果] 

2026年6月、ロゼッタは契約書分野において、超高精度(熟考)モードの修正必要率が0.05%(センテンス数ベース)に達したことを公表しました。これは100〜200ページに1センテンス程度という水準です。 

■ 「リスクを取ってでも任せられる」――超高精度(熟考)モードへの信頼 

―― 超高精度(熟考)モードの使い心地はいかがですか。 

世の中にいろいろなAIが出てきていますが、専門家として最終レビューをする際、超高精度(熟考)モードの訳文は大きく信頼できると感じます。「ロゼッタがやっているのだから大丈夫だろう」と、自分のリスクを取ってでも踏み込める。この安心感は、時間的にも非常に大きいです。

特に助かるのは、誤訳の可能性がある箇所をあらかじめ指摘してくれる点です。以前は、訳文に違和感を覚えるたびに「これは原文のミスなのか、訳のミスなのか」と原文をいちいち確認しに行く必要がありました。今はその違和感を先に示してくれるので、原文を逐一確認する手間が大きく省けます。

■ 訳語の一貫性と、文書をまたぐ翻訳 

―― 法律文書では、同じ用語を必ず同じ訳語に揃える必要がありますね。以前は「期間」がtermとperiodに分かれてしまう、という課題を挙げていらっしゃいました。 

当時はセンテンスごとに区切って翻訳していたため、どうしても訳語がばらつき、後で人手で統一する必要がありました。今は文書全体の構成を読んでから訳す方式になっているので、基本的に訳語は揃い、ほとんど手を入れなくてよい状態にまで来ています。

―― 複数の文書にまたがる案件では、いかがですか。 

普通は「1文書いくら、複数ならお値引き」と考えるものですが、実は逆なんです。契約書に対する覚書のように、関連する複数の文書がある場合、1文書である概念を定義したとき、その定義を他の文書で引き継ぐ必要があります。一貫性を持たせるためです。「どんな概念をどう定義したか」を頭に入れて定義を引き継ぐのは、まだ人間(私)のバリューが出せるところだと思っています。 

(ロゼッタ補足)現在は「リファレンス文書」を登録することで、文書間の相関性を持たせ、文章をまたいだ解釈のうえで訳出できる仕様になっています。

■ 機密文書とファイル対応 

―― 機密性の高い文書が多い中で、セキュリティ面はいかがですか。 

法律事務所ですから、扱う文書はみな機密性が高いです。Word文書だと固有名詞を伏せれば生成AIなどセキュリティ管理が甘い機能で翻訳可能かもしれませんが、T-4OOではPDFをそのまま投入して訳せるのは大きな利点です。実務でも3割ほどはPDFをそのまま扱っています。翻訳作業の手間が大幅に省けたおかげで、その分、より多くの仕事をこなせるようになりました。

■ 最後に、中山弁護士からこれから検討されるみなさまへ 

「AIによってツールが目まぐるしく進化する今、『うちには経験のある人間がいるから不要だ』と構えているだけでは、見えてこないものがあります。実際に使ってみて初めて、人の翻訳とAIの翻訳、それぞれの強みと限界が見えてくる。ゼロから作るのは大きなエネルギーが要りますが、たたき台を一瞬で用意してくれる——その価値は、専門文書を扱う私たちの現場でこそ大きいと感じています。まずは一度、ご自身の実務で試してみることをおすすめします。」

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